【食べある記・トロント編】
究極の寿司をめざす
ジャッキー・リンさんの「匠心」(しょうしん)


 最近のトロント和食ブームは居酒屋とラーメン店の繁盛ぶりで支えられている感がある。そこへ本格的寿司をめざす店「匠心」(しょうしん)が10月17日にグランドオープンした。オーナーシェフは中国系カナダ人のジャッキー・リンさん(31歳)。

 ジャッキーさんはトロントでは老舗の日本レストラン「禅=Zen」(現在はマーカム市に移転)で12年間、柏原清一(かしわばら・せいいち)さんのもとで修業をし、「寿司の技術はもとより、職人の心を学びました」と言う。

 13歳のときに中国広州から家族とともにカナダに移住してきたジャッキーさんは、高校生のときにドラマで寿司造りを見て、すっかり魅せられてしまった。さっそく寿司店でアルバイトを開始。その後、本格的に寿司職人になるため「Zen」へ。寿司を学ぶためには日本語も習得しなければならない。おかげで、今では中国語(広東語と北京語)、英語、日本語を駆使できるようになった。


▲オーナーシェフのジャッキー・リンさん。「Zen」の柏原清一さんからもらった座右の銘「謙虚・誠実・感謝」を手に寿司の心を語る

 ジャッキーさんの寿司へのこだわりは「素材とシャリ」。「お客さまに一番よい状態で食べてもらえるように素材を仕入れ、管理すること」だそう。寿司ネタは日本をはじめ、米ボストンや各地から仕入れている。「本マグロに関してはどこよりも美味しく提供していると思います」と自信たっぷり。

▲カウンターの右側には掘りごたつ風テーブル席もある。ジャッキーさん(左から2人目)は寿司をにぎりながら全体の采配をふるっている ▲カウンター奥の個室風テーブル席


 店内は総ヒノキ造りで、内装はシンプル。広さの割に席数が30席と少ない。「お客さまにゆったりとした気分で料理を楽しんでいただきたい。内装をシンプルにしたのは料理に集中してもらいたいからです」と。

 メニューは「おまかせA」($80)、「おまかせB」($120)、「おまかせC」($250)のみ。Aは前菜2種、スープ(椀)、寿司、デザート。 Bは前菜2種+刺し身盛り合わせ、スープ(椀)、寿司、デザート。Cは前菜2種+刺し身盛り合わせ、和牛、スープ(椀)、寿司、デザート。いずれのコースも寿司がメインディッシュになっている。内容はコースによって変わる。ここでは「おまかせB」を紹介しよう。

▲季節の野菜をあしらった前菜1 ▲前菜2(左上は松の実入りレンコンもち)


▲刺し身盛り合わせ ▲デザートの芋ようかん


 ジャッキーさんは基本的に寿司と刺し身を担当し、その他の料理はキッチンシェフの伊地知俊行(いじち・としゆき)さんとスタッフが担当している。もちろん、総合的にはジャッキーさんが目を通しているそうだ。

▲中トロ ▲シマアジ
▲ミル貝 ▲ わらでスモークしたサワラ


 メインの寿司は、シマアジ、中トロ、マグロ赤身、大トロ、ミル貝、エビ、ウニ、イクラ、サワラのわらスモーク、イカの印籠ツメ、あなごの手巻きなど約10種。材料は季節や仕入れによって変わることがある。
 酒類は大吟醸、吟醸、純米酒、スパークリング酒などの日本酒、ワイン、ビール、カクテルなどがそろっている。

 「とにかくお客さまに楽しんでもらえる店にしたいです」とジャッキーさん。フランスでミシュランの星を冠する日本人のオーナーシェフ・フランス料理店がフランス人に受けている時代。数十年前には想像もつかなかった。寿司も国際的になった現在、中国系カナダ人の本格的寿司店がトロントでどのくらい受け入れられ、伸びて行くのか楽しみである。

【匠心】
3328 Yonge Street, Toronto
(Lawrence の北、Fairlawn Ave. と St. Germain Ave. の間、西側)
バレットパーキングあり($15)
■予約:416-488-9400
■営業時間:火曜〜土曜/午後5時〜10時(日曜&月曜休み)
 www.shoushin.ca

〈リポート・いろもとのりこ〉

(2015年11月26日号)



 



 
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