原発事故への関心を強めた上映会
福島原発事故のドキュメンタリー「A2-B-C」


 トロント近郊に在住のドキュメンタリー作家、横間恭子(よこま・きょうこ)さんとカナダ人女性3人が企画したイベント「5 Years Later : Lessons from Fukushima for Ontario」が、3月10日、11日、13日の3日間、トロント地域を中心に開催された。


▲当日上映された映画「A2-B-C」のポスター

 このイベントでは、福島の母親と子供にフォーカスを当てた在日米人監督のドキュメンタリー作品「A2-B-C」(70分)を上映し、専門分野のゲストを招いてパネルディスカッションも行われた。3月11日に行われたイベントでは、トロント市内ダウンタウンということもあって会場の Beit Zatoun は満席。原発に対する関心の深さを見せていた。

 まず、「A2-B-C」の映画が上映された。内容は福島の原発事故が起きた地域の放射線量を一応除染して「安心だ」といわれたものの、それを信じていいものかという疑問から始まっている。もっとも不安を感じているのは将来ある子供たちが成長して行く過程で影響が出てくるのではないかという親の不安である。

 映画では各自が放射線量計を持ち、ことあるごとに計っている。小さな幼稚園児でさえ「ここは放射能が高いから遊べない」とか、「給食に福島産の食材を用いている」と不安を抱く親もいて、弁当を持参させるケースもある。

 住民をこれほど不安にさせている原発事故の本当の終わりは一体いつくるのだろうか。それでもまだ、原発の再稼働の動きは継続している。


▲上映会およびパネルディスカッションの会場風景


▲放射線の健康被害などについて話すアンジェラ・ビスコフさん

 多くのことを考えさせられた映画の上映後、原発に関する専門家二人のパネルディスカッションが行われた。ひとりは Ontario Clean Air Alliance (OCAC) の Angela Bischoff さん。放射能の健康被害などをわかりやすく解説した。


▲現実に原発事故が起きた場合の対処法などを語るエリカ・スタールさん

 もうひとりは、Canadian Environmental Law Association (CELA) の Erica Stahl さんで、実際に原発事故が起きた場合、どのように避難すればよいのか、また、どれくらいの距離でどの程度の影響があるかなどを話してくれた。


▲今回のイベントオーガナイザーの1人,横間恭子さん

 オーガナイザーの1人、横間恭子さんは今回のイベントについての感想を次のように語った。
「トロント地域ではすぐ近くに原発があるにもかかわらず、あまりにも関心が薄いのです。こうした福島の現状を見ていただくことで少しずつでも関心を持ってもらいたいと願い、できることからやって行きたいと思います」

 横間さんは、現在、自作の福島原発に関するドキュメンタリーを製作中である。

【映画「A2−B−C」の紹介サイト】
www.a2documentary.com

(2016年3月17日号)


 



 
(c)e-Nikka all rights reserved