自然を堪能するアラスカクルーズ(前編)
2度目のクルーズで新たな多くの発見が・・・


〈トロント 松井祐実・記/ 写真撮影:Richard Severin〉

 昨年9月に2度目のアラスカクルーズへ行ってきた。今回はノルウェージャンというクルーズ船会社の10日間コースで少し長めの日程だった。

 コース内容はシアトルを出発し、ケチカン、ジュノー、スキャグウェイ、グレーシャーベイ国立公園、アイシー・ストレート・ポイント、シトカ、ビクトリアを訪ね、最終地のバンクーバーまでと10日間コース。

 ケチカン、ジュノー、スキャグウェイは1度目のクルーズでも立ち寄っているが、今回、スキャグウェイでは、5月から9月の夏の期間だけ運行している「ホワイトパス・ユーコンルート」という鉄道に乗ってみた。前回は乗らなかったので、ずっと心残りだったが、今回は列車に乗車してカナダとの国境付近まで行くことができた。


▲クルーズ船が停泊する港に停まっているホワイトパス・ユーコン鉄道の列車

 本当はもっと先の国境を越えて、カナダのユーコン州まで行きたかったのだが、9月半ばで国境を越える列車はすでに終了していて、国境手前まで行く列車しか運行していなかったので仕方がない。機会があったら、今度は是非、列車で国境を越えてみたいと思った。


▲列車からの景色。山と山の間から雪山がのぞく

 クルーズ船の停泊場所の目の前に列車が止まっているので、乗客にとってはとても便利である。というか、ほとんどの観光客はクルーズ船の乗客だからであろう。
 朝早い出発で、お天気はちょっと曇り気味であったが、折り返し戻る頃にやっとお天気が良くなりはじめた。すべては車窓からであるが、氷河や渓谷などの自然が次から次へと降り注ぎ、雄大な景色を堪能できた。

 スキャグウェイの町に戻り、町中を散策して回った。前回よりも2週間ほど遅い出発だったクルーズで、しかも年内最後のクルーズだったので、どこのお店もほとんど年内閉店セールをしていた。おかげで、おみやげ物が安く手に入った。
 スキャグウェイだけでなく、ジュノー、ケチカンでも同様に年内閉店セールが行われていた。クルーズ船が停泊する町は、クルーズ客を当てにしているため、クルーズがある時期のみ開けているお店がほとんどである。


▲グレーシャーベイ国立公園の美しい山々


▲クルーズ船から見るド迫力の氷河


▲たくさんのアザラシが寝ころがっている。日向ぼっこをしているのかな?


▲トドがうじゃうじゃいる孤島

 スキャグウェイの次に向かったのがグレーシャーベイ国立公園。現在、この国立公園は世界遺産となっているそうだ。ここは、チルカット山脈とフェアウェー山脈に挟まれた地域にあり、たくさんの山々が氷河によって浸食され、すばらしいフィヨルドを形成している。

 たくさんの動物も生息していて、まさに自然の宝庫である。私たちはたくさんのアザラシとシーライオン(日本語名=トド)の群れやクジラを見ることができた。
 夏の間は特に氷河が大きな音を立てて崩れる様がすばらしく、観光客に感動を与えている。9月後半ではあったが、私たちも小さい氷河が崩れる場面に、偶然、遭遇でき、感動ものであった。


▲アイシー・ストレート・ポイントから歩いて30分ほどのところにある町フウナ。お天気がよく、澄み渡ったきれいな景色

 グレーシャーベイ国立公園を後にして、次の停泊場所は、国立公園にほど近い場所でチチャゴフ島に位置するアイシー・ストレート・ポイント。先住民クリンギットの居住地で、アラスカ最大のクリンギット族が住むフウナといわれる町の北部に位置している。現在、クリンギット族のひとつであるフナ族の人口は約850人である。


▲アイシー・ストレート・ポイントにあるサーモン缶詰工場の博物館


▲フウナにはたくさんの鷲の巣があり、鷲もたくさん見かける

 ここフウナは、漁業、特にサーモン漁が盛んで、1912年に大きなサーモン缶詰工場が建てられ、この町の大きな産業となっていった。それ以来、1950年代初期まで会社の経営者が何度も入れ替わりながら、フナ族の生活を支えていた。最盛期には日本の企業も入り込み、多くの日本人が働いていたという。

 閉鎖後、何十年もの間、工場は廃墟となっていたが、後にフナ・トーテム・コーポレーションがこの工場一帯を買い取り修復し、大型クルーズ船などが停泊できる港を造った。この一帯をアイシー・ストレート・ポイントと呼ぶようになり、2004年にこの自然保護港が開港して以来、毎年クルーズ船で観光客がフウナを訪れるようになった。

 この工場は現在1930年代の製缶工程が展示されているほか、博物館・地元工芸美術店やレストランなどが併設されている。ここのレストランでは、私たちには珍しいトナカイの肉を使ったハンバーガーやソーセージを提供している。


▲世界最大といわれるジップラインを楽しむ人たち

 また、このサーモン缶詰工場博物館の裏手には、世界最大といわれる大迫力のジップラインのアトラクションもあり、観光客を楽しませている。

 私たちはジップラインには興味がなかったので、まずアイシー・ストレート・ポイント港から歩いてフウナの町を散策することにした。港からは有料の町までのバスが出ているが、お天気も良かったので、私たちは歩くことにした。
 歩けど歩けど何もなく、本当に町があるのかなという感じで、1時間近く歩く。所どころ家が出てきたが、町という感じではなかったので、たまたま通りかかった管理局で聞いてみることにした。

 聞けば、私たちはすでに町を通り過ぎたとのことで、地図をもらい、引き返すことにした。どこで町を通り過ぎたのか? 私たちが思っていた町の広さとフウナの町の広さの違いであった。ここでは、町といえど、お店がたくさん立ち並んでいるわけでもなく、家が点々とする田舎町であった。食料品店も1軒しかなく、おみやげ物屋さんも町にはない。港から20分ほどのところに2軒ほどあるのみで、町自体に観光化は全くされていなかった。観光化されているのは港の一帯のみであった。

 でも、自分では絶対に行くことができない、クルーズ船だから行けたアイシー・ストレート・ポイント。先住民の暮らしを見ることができ、貴重な経験であった。(次号につづく)

(2016年4月14日号)



 



 
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