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岡井朝子バンクーバー総領事


〈 インタビュア・妹尾 翠 〉

 在バンクーバー日本国領事館の開館が1889年6月22日、そして総領事館に格上げされたのが1963年6月15日で、この時から総領事が館長となる。今年2016年4月26日には第22代目として初めて女性の総領事が着任し、日系コミュニティーの関心も大いに高まっているところである。5月4日、新総領事岡井朝子氏にお目にかかりお話を伺った。


▲岡井朝子バンクーバー総領事

外務省に入省されてからの活動について
 今年で入省28年になりますが、開発協力に携わった経験が長く、アフリカ開発、人道支援、平和構築などを手がけてきました。前任地の在スリランカ大使館や国連日本政府代表部の仕事もその一環といえるでしょう。

外務省入省のきっかけは?
 父親の仕事の関係で、小学校5年から中学3年まで駐在員の家族としてアメリカで過ごしました。最初の一年は英語が出来ないので、仲間に入れず寂しい思いもしましたが、二年目からは英語にも慣れました。異国の子供でも分け隔てなく学校側は受け入れてくれて、今思うと他文化の中で大変貴重な経験をしたと思います。

 日本に帰国後、将来は何か国際的な仕事をしたいと漠然と思っていた高校2年生の時、教頭先生からノーベル賞の授賞式に際して企画された各国代表による青年交流プログラムに応募しないかと言われました。日本の選考方法は「人類と科学」という題目で英語のエッセーを書くというものでしたが、幸運にも私が代表に選ばれ、ストックホルムに行く機会を得ました。

 1970年代、外国の方々は日本といえば電化製品とか車としかイメージできず、日本人に直接会ったのは私が初めての方も多いような時代でした。子供ながらも、国と国との関係は突き詰めれば人と人との関係だ、日本の良さをもっと外国の人に知ってもらいたい、そのためには自分がしっかり発信しなければならないのだと強く思いました。

 帰りの飛行機の中で、自分がそうすることによって日本の地位を高めることができる仕事が何か、を一生懸命考えた結果、それは外交官であろうとの結論に至り、大学3年目から外交官試験の勉強に集中し、4年生の時に合格しました。

女性の総領事はまだ少ないですが女性総領事としての意識は?
 女性の総領事はカナダでは初めてです。現時点で女性の日本の総領事は世界で私を含め二人です。過去何人いたかについては資料が手元にありませんのでよくわかりません。
女性だからといって、自分としては気負いは全くありません。でもきっと自然体でやっていますと女性ならではの視点や気配りが自ずと出てくるかもしれません。

 総領事館は在留邦人、日系人の皆様のニーズに寄り添っていなければならないと思っています。皆様方のご意見をよく聞き、ご一緒に諸懸案を解決し、日加関係を促進していく考えです。

今までの仕事で特に思い出に残っていることは?
 2000年からパキスタンで経済班長の任務に就きました。日本は当時、トップドナーの地位にありましたが、経済制裁が課されるなど難しい舵取りが必要でした。

 折しも9.11の同時多発テロがニューヨークで起き、パキスタンの安定がテロとの戦いを勝ち抜く上で必須、不安定化を阻止するために積極的な支援が必要、というふうに風向きが一挙に変わりました。日本と世界銀行(世銀)が中心となって、国際支援の動員のために尽力しました。緊急事態下において、経済班長として、日本の支援の立案、各国との調整、現場での実施などに駆けずり回ったことは、今の私の原動力にもなっています。

 治安面では、渡航禁止勧告が出て、徒歩移動はもってのほか、近所のホテルが爆破されたこともありました。でも、今の治安状況の方が当時よりもっと悪くなっているようです。

 2014年からスリランカ大使館公使でした。スリランカは2009年に内戦が終わったばかりですが、経済も成長過程にあり、日本人に似た穏和な気質の親日国で、町の中もきれいで食事も美味しいです。北海道より小さな面積に世界遺産が9カ所もあり、観光面でも有望な所です。戦争の傷跡を乗り越え、真の民族和解を達成して、引き続き発展していって欲しいと思っています。

 人道支援やアフリカ担当の課長として、アフリカ大陸53カ国のうち22カ国を訪問しました。アフリカは、資源豊富で、最後に残された市場としての可能性も大きいところでしたから、TICAD という日本主導のアフリカ開発のための枠組みの中で、官民連携にも積極的に取り組み、ウィン・ウィンの関係を築くために努力してきました。

 私が民間企業の皆様を奥地にまでご案内して可能性を見て頂いた、例えばモザンビークなどには、その後、安倍総理大臣も訪問されましたし、私の業務も少しは役に立ったかと思っております。

バンクーバーの印象は?
 アジアに向かって開かれた国際都市ですね。まだ着任して1週間しかたっていませんが、想像を超えた風光明美な土地柄に感動しております。

 当地には多くの在留邦人,日系人,ビジネス関係者の皆様が居住されており、日本及びカナダ両国関係の発展にとって大きな潜在力を秘めていることを感じます。
 総領事として、日本とカナダの両国関係,とりわけ、日本とBC州関係,日本とユーコン準州関係のさらなる発展に向けて微力ながら尽力したいと思います。



(2016年5月12日号)



 



 
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