建設中のコンドミニアム
新築物件の購入に際し知っておくべきこと


〈 解説・服部江理子 〉

 トロントの新築物件のブームは、まだまだ続いています。特にダウンタウンや、最近では、Yonge Street と Eglinton Avenue 地区のミッドタウンなど、建設中のコンドミニアムもいたるところで見かけるかと思います。

 新築のコンドをビルダーから購入する場合、中古物件の購入に比べ、プロセスが複雑で、知っておかないと後でびっくりすることがいつくかあることをご存じですか?




 ここでは、その中でも主な5つの点をご説明します。

1. Deposit(申込金・手付金)
 新築物件を購入するには、中古物件のように5%のダウンペイメント(頭金)ではなく、通常、価格の20%のデポジット(申込金・手付金)が必要になります。
 支払い方法は、各プロジェクトにより多少違いますが、よくある支払いスケジュールとしては、契約書にサインする際に、$3,000 から$5,000 。そのあと、15日以内に価格の5%から最初のデポジットを引いた差額、30日以内にさらに5%、90日以内に5%、180日に5%、などとなります。

※ちなみに、契約して最初のデポジットを支払ってから、10日間はクーリングオフ期間といって、その間なら無条件で契約をキャンセルすることができます。この期間に弁護士に契約書の内容を確認してもらうことをお勧めします。

2. Delay (入居日の遅れ)
 各プロジェクトには、Occupancy の日として入居予定日があり、書類に明記されていますが、この予定より遅れることは珍しくありません。契約書にこの件に関する詳しいルールが記載されていますので、きちんと読んで、把握しておく必要があります。ビルダーは、バイヤーに定められた事前連絡をすれば、最高2年の遅れも法的に認められています。




3. Interim Occupancy Period / Occupancy Fee(暫定的な居住期間、居住費)
 Interim Occupancy Period(暫定的な居住期間)は、コンドの購入したユニットが完成し、入居が可能となった時期です。ただ、この時点では、まだ、コンドミニアム自体は政府の登録も済んでおらず、まだ工事中のユニット(通常、高層階になるほど入居が遅くなる)もあり、設備も出来上がっていない状態で、購入者の正式な登記もされておらず、入居できても、自分のものになっていない状態です。

 このビルダーから指定された入居可能日を Occupancy Closing といいます。この時期から、正式に登記が行われる Final Closing までには、4カ月から8カ月ほどかかります。

 この期間は、まだ正式に購入が済んでいない状態なので、モーゲッジの支払いも生じません。しかし、ただで住めるわけではありません。この時期は Occupancy Fee といって、ビルダーに支払ういわゆる家賃のようなものが毎月発生します。この Occupancy Fee の額は、購入価格の残金にかかる金利+管理費+プロパティータックスの見込み額相当になります。




4. Closing Cost (最終支払い経費)
 中古物件の購入のクロージングコスト(諸経費)は、ほぼ予想がつき、あらかじめ予算組みができますが、新築物件の経費は、中古物件にはないものがいろいろあり、通常、クロージング前まで、その正確な金額が分かりません。

 クロージングコストに含まれるものの一部としては、Development and Education Fee、含まれる家電のHST、ハイドロ、ガスの設置費などもあります。ランドトランスファータックス(不動産取得税)も中古物件同様にかかりますが、それ以外のコストとして、$10,000〜$12,000 ほどかかることも珍しくありません。その点、きちんと予算組みをすることが必要ですが、契約する際に、クロージングコストを一定額に抑えることをビルダーと交渉し、Amendment という書類を作成してもらうことも可能です。

5. HST(Harmonized Sales Tax)
 中古物件は、HSTがかかりませんが、新築物件はHSTの対象となります。ただ、購入者本人が住む場合のみ、政府からHSTリベートが受けられ、コンドミニアムの購入価格には、このリベートを引いた分のHSTが価格に含まれています。
 したがって、自分が住む場合は、HSTは支払わなくていいのですが、投資物件として、自分が住まない場合は、価格に含まれないリベート額に相当するHSTをクロージングの際に支払わなければなりません。その額は、最高$29,000 になりますので、クロージングの際に予想外の出費に驚かないよう、HSTリベートが受けられるのかどうか、知っておく必要があります。

※投資で購入した場合、賃貸物件として1年以上の賃貸契約を交わせば、HSTのリベートが受けられるという投資家むきの同様の政府のリベートもあります。

 これ以外にも新築物件の購入のみに関係する注意事項はありますので、新築の物件を購入する際も、直接コンドのセールスオフィスに行って、契約をしてしまわず、まずは、経験、知識のある不動産エージェントに相談されることをお勧めします。

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今回の記事の内容について、もっと詳しい情報をご希望の方、そのほか、家・コンドの購入、売却に関するご質問は、いつでもお気軽にお問い合わせください。

服部江理子(はっとり・えりこ)
Sales Representative
Royal LePage Signature Realty
Tel : 416-371-0224
E-mail : eriko@royallepage.ca
Website : www.erikohattori.ca


(2016年5月26日号)



 
 


 
 
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