【カナダ観光シリーズ】

大自然に触れる旅
ニューファンドランド&ノバスコシア(その2)
グロスモーン国立公園とランス・オー・メドウズ


〈トロント 松井祐実・記/ 写真撮影:Richard Severin〉

 ニューファンドランド・アンド・ラブラドル州ニューファンドランド島のグロスモーン国立公園(Gros Morne National Park)。まずは、国立公園内のハイキングコースのひとつ、テーブルランドといわれる場所へ行ってみる。ここは、本来ならば地下深くに埋まっているはずのマントルが、地殻変動によって地上に押し上げられてできたもの。金属分を多く含む地質のため、植物が育たず赤い岩山が露出していて、何となく他の惑星を思わせる。


▲テーブルランド。他の場所は緑があるにもかかわらず、ここだけが赤土に覆われていて不思議な光景

 テーブルランドへ行くのにも同じく車を使わないと行けない。駐車場から20分ほど歩くことになる。毎日とてもいい運動である。テーブルランドも私たちは2度訪れていて、最初は曇っていたが2度目はいいお天気だった。天気によって全く景色が変わるのは面白いものである。


▲グロスモーン山を登っている途中に見た景色。はるか遠くをも見渡すことができる

 グロスモーンは山であるため、天気が変わり易いのが特徴である。いいお天気でも場所によっては曇っていたりする。でもせっかくなので、いいお天気の日にグロスモーン山に登りたいと思い、毎日のように天気予報をチェックして、この日と思う日に登ることにする。


▲大きな岩がたくさんの傾斜面を登らないと頂上へは行けない


▲グロスモーン山を下山中に見た景色。登りの時とは違い、緑が山を覆っている

 この山は標高806メートルで、「ハイキングコースは約7時間」と表示されており、難易度はかなり高い。しかし登った人にだけしか味わえない達成感と、さえぎるものが何もないパノラマの景色が堪能できることは間違いない。ほかにもこの公園にはハイキング用のトレイルが難易度に合わせて約12ほどある。


▲ブルームコープで訪れた1960年代頃に使われていた漁師の作業場。当時は鱈(タラ)漁が中心だった様子が伺える。たくさんのロブスター捕獲かごも見られた


▲アーチズ州立公園

 何日かお天気が良くないときがあったので、ブルームコープ、ロブスターコープヘッドやアーチズ州立公園などの観光名所もまわることにする。
 観光名所の1つであるブルームポイントを訪れた。ここはそれほど遠くない昔、漁師の村であったところで鱈(タラ)の漁が盛んであった。数軒の家が点在しているが、今ではだれも住むことなく、公園内の展示物となって、1960年代当時をしのばせる。時間帯によってガイドが当時の説明をしてくれる。


▲ロブスターコープヘッドにあるライトハウス。きれいな白が印象的

 ロブスターコープヘッドへ行ったとき、ライトハウス(灯台)に新しく展示場を設けたことで、そのセレモニーが行われていた。たくさんの人たちが訪れていて、駐車場を探すのが大変であった。

 ウェスタンブルックポンドへ行った帰りに車の窓にチラシがおいてあり、教会でムースディナーが1人10ドルで食べられるイベントがあると書かれていたので、早速行ってみた。


▲セントポール教会でのムースディナー。10ドルでこのボリューム。マッシュポテト3つにたっぷりのグレービーソース。めったに食べられないムース、貴重な経験となった

 教会はキャンプをしているベリーヒルから約45分ほど北上したセントポールという町にあるセントポール教会。ここで、町の人が持ち寄りで年に2回ほど開いている行事らしい。サラダやパン、ムースのシチュー、デザートとすべてホームメードで、とても美味しかった。

 初めて食べたムースであるが、たいへんやわらかく煮込まれていた。なかなか食べられないムースに加え、このイベントに参加でき、とてもラッキーに思った。


▲セントアンソニーのB&Bの朝食で出されたパートリッジベリーとベイクアップルのジャム

 5日間のキャンプを終え、私たちはグロスモーン国立公園から北に位置するセントアンソニーという町を目指す。約4時間かかり、セントアンソニーに到着する。ここでは前もって予約を入れておいた宿「Lynn’s B&B」に2泊する。

 B&Bに到着後、約20分のところにあるフォックスポイント・ライトハウスへ行ってみる。しかし、この日はあいにく濃い霧がかかり、あたり一面全く見えない。そこであきらめて、次の日、セントアンソニーから約1時間30分ほどにあるランス・オー・メドウズ(L’Anse aux Meadows)へ行ってみた。


▲ランス・オー・メドウズ。1000年以上も前にバイキングがヨーロッパから海を渡って入植していたとされる歴史的にとても重要な場所

 ランス・オー・メドウズは、コロンブスがアメリカ大陸を発見する約500年前の西暦1000年ごろにヨーロッパから渡ってきたバイキングが入植していた形跡が残る史跡であり、コロンブスの新大陸発見という学術的な定説を打ち破った、すごく貴重な場所でもあるため世界遺産の一つになっている。

 まず、ビジターセンターで入場料を支払い、後ろのドアから出て、遊歩道を通り住居跡などのある場所へ。ほぼ完全な形で発掘された発掘現場のそばでは、バイキングに扮したスタッフが当時の生活や発掘などについての説明をしてくれる。10〜11世紀ごろのニューファンドランドは現在とは違い温暖だったようであるが、この日は8月上旬にもかかわらず肌寒かった。


▲初めて見たカリブー。角の形がトナカイに似ている

 ランス・オー・メドウズへ行けたことは歴史を知る上で貴重な体験であった。 セントアンソニーを出発の日、もう一度フォックスポイント・ライトハウスへ立ち寄ると、お天気が良く先の先まで見渡すことができた。とても良い景色が見られてラッキーだった。ここは、運がよければクジラを見ることもできるそうだ。

 このあと、私たちは南下し、コーナーブルックで1泊した後、最初にフェリーで到着した Channel-Port aux Basques まで来て、そこの港からフェリーでノバスコシア州へ渡る。〈次号につづく〉

(2016年5月26日号)



 



 
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