【エルトゥールル号】

日本・トルコ合作映画「海難 1890」感動呼ぶ
日系文化センターで特別上映会とレセプション


 日本・トルコ合作映画「海難 1890」の特別上映会及びレセプションが9月18日(日)、日系文化センター・博物館で開催され、約250名の観客が参加した。在バンクーバー日本国総領事館、在バンクーバー・トルコ共和国総領事館、日系文化センター・博物館 の主催。


▲在バンクーバー・トルコ国総領事 Anil Bora Inan 氏(中央左)、日本国総領事・岡井朝子氏(同右)、トルコ総領事夫人(右)、岡井総領事の夫・岡井知明氏(左)

 上映に先立ち、在バンクーバー・トルコ国 Anil Bora Inan 総領事、在バンクーバー日本国岡井朝子総領事、バーナビー市デレック・コリガン市長、日系文化センター五明明子会長の挨拶が行われた。
 各代表の挨拶では、今回のイベント開催のいきさつ、映画製作の経過、映画の内容、映画ランキング、受賞、人種や文化が違っていてもお互いに通じる人間愛の素晴らしさなどについて語られ、これから世界各国のトルコと日本の大使館または領事館が共同で「海難1890」の上映会を行っていくであろうことなどが語られた。


▲エルトゥールル号

 今回上映された「海難1890」は、日本とトルコ両国間の友好125周年を記念して製作された映画で、1890年9月16日に和歌山県紀伊大島で 発生した「エルトゥールル号海難事故」の際に、村民がオスマン帝国親善訪日使節団員を救助したことに感謝したトルコ政府が、イラン・イラク戦争ぼっ発時、イランの首都テヘランに取り残された邦人を救出した史実を題材とした作品である。

【映画の内容】
 1890年(明治23年)、オスマン帝国から大日本帝国に派遣された親善使節団が軍艦「エルトゥールル号」で横浜を出発、トルコへの帰途についたが、途中、台風に遭い、和歌山県の紀伊半島沖で座礁。乗組員618人のうち500人以上が犠牲となった。

 紀伊大島・樫野村の村民たちは浜辺に打ち上げられた多数のトルコ人の遺体を手厚く葬るとともに、生存した負傷者を懸命に手当てした。村民はわずかな蓄えしかないのにもかかわらず、自分たちの食事を減らしてまで協力して食事や衣類を提供し、69人の命が救われ、無事トルコに帰還することが出来た。


▲(映画の場面より)大日本帝国に派遣されたトルコ親善使節団の軍艦「エルトゥールル号」の出航


▲紀伊半島樫野村の村民たちによるトルコ人遭難犠牲者の合同葬儀


▲トルコの遺族に返す遺品を洗ったりつくろったりする村の人たち


▲イラン・イラク戦争で爆撃を受けた日本人たちの緊急脱出のために飛行機の座席をゆずったトルコの人々(1985年テヘラン空港にて)

 それから95年が経過した1985年(昭和60年)、イラン・イラク戦争がぼっ発。サダム・フセインのイラン上空の航空機に対する無差別攻撃宣言が出されたため、各国は救援機を飛ばして次々とイランを脱出した。しかし、日本政府は救援機を飛ばすことが危険と判断し、救助要請に応じなかった。

 テヘランに残された日本人215人は絶望の淵に立たされたが、この状況を打開すべく、日本大使館はトルコへ日本人救出を依頼した。トルコ首相はそれを快く承諾。まだ500人近くのトルコ人がテヘランに残っていたにもかかわらず、日本人に優先的に飛行機の席をゆずった。

 映画は、このような史実をもとに製作されたもので、日本では2015年12月5日に全国309スクリーンで公開され、トルコでも12月25日より300スクリーン規模で公開された。日本では12月5日・6日の2日間で観客動員8万8,295人、興行収入1億503万3,900円を記録し、国内映画ランキング(興行通信社調べ)で初登場第4位となった。

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 上映会終了後は、両国の国際親善をはかる目的として、トルコ総領事館と日本総領事館の共催で記念レセプションが行われた。レセプションではトルコワインや日本酒などとトルコ料理・日本料理が用意され、 歓談のひとときを過ごした。

 レセプション会場で参加者に感想を伺ったが、ほとんどの人は「涙が出ました」の一言であった。
 日本総領事館の邦人保護領事班長、松田茂領事は、「仕事上、日本人を守ることが一番大切ですから、この映画を見ていろいろな思いが広がりました。日本政府が救援機を飛ばすと言っても救援機は自衛隊の飛行機ですから勝手に入国できないのです。このような事態での対策、各国で協力しあっていかねばなりませんが、これからの課題も多いです」と話した。

 岡井朝子総領事は、「事実に基づいた映画で、これほど他の国の人たちにも感動を与える映画というのはなかなかないでしょう。親切とか人間の良い面を引き出して、言葉で言い表せない人間のかかわりを表現していて、日本・トルコのみでなく世界中に影響を与え、人の心を動かすことが出来ると思います。これだけ良いフィルムですから、たくさんの方に見ていただきたくて、今回は関係者だけではなく一般公募もいたしました。たくさんの方が応募してくださり素晴らしい機会を持てました」と語った。

 「海難1890」は日本ではすでに一般公開されている。また、日米航路のワシントン便ではすでに機内上映されているという。

映画:「海難1890」 公式HP:http://www.kainan1890.jp/

〈 リポート・妹尾 翠 〉

(2016年9月22日号)
 



 



 
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