8月BC 州で施行された外国人住宅購入税15%
オンタリオ州の不動産市場への影響は?


〈 解説・服部江理子 〉

 前回は、8月2日BC州で施行されたメトロバンクーバーの住宅購入に課税されることになった外国人住宅購入税についてお話しましたが、その後、2カ月以上経過し、バンクーバー地区の住宅市場のさまざまな数値が出ていています。そこで、今回は、その税金のバンクーバー地区に及ぼしている影響を、オンタリオ州の不動産の動きと併せて見てみましょう。




 法令施行後の8月に売れたバンクーバー市の一戸建ての家の平均価格は、7月より11.6%減の260万ドルで、3年間の上昇続きから、初めての大幅減となりました。
 一方、同時期のトロントの一戸建ての家の平均価格は、7月より0.3%増しの、121万ドルとなっています。また、バンクーバー全セールス数に関しては、この法令施行後の8月は、前年比26%減と大幅な減少となっています。

 また、BC政府が出したデータによると、バンクーバー地区で、法令施行後の8月2日から8月31日に決済されたセールスで、外国人購入者は60人のみで、すべてのセールのわずか0.9%でしかなく、それ以前の7週間で13.2%のセールが外国人購入者であったということです。
 この、外国人住宅購入税が施行される前に急いで決済日を税金がかかる前の日に早めたりしたケースも実際にかなりあったようで、一層、法令施行直後の外国人購入者の急減の原因となっています。

 特に、外国人投資家の購入が多いと見られている400万ドル以上の高価格住宅に関しては、7月、8月の住宅のセールス数は、バンクーバーでは、41件、前年比、37.9%減でした。一方、GTA(グレーター・トロント・エリア)では、47件と、前年比、74.1%増しとなっています。

 このように、現在までに出ている数字を見ると、明らかに、この法令の影響は大きく、平均価格、セールス数ともに、バンクーバー地区の住宅市場にブレーキをかけた模様です。

 このような現象を受けて、最近では、影響力のある数人の経済評論家たちが、オンタリオ州も同様の法令を施行すべきだと言っています。連邦財務省のジョー・オリバー前大臣(Joe Oliver)はナショナルポスト紙で、オンタリオ州も早急に15%の外国人住宅購入税をトロントの特定の地域に限り導入すべきであると述べて、反響を呼んでいます。

 現在のところ、オンタリオ州のチャールス・スーサ財務大臣(Charles Sousa)は、「現在、トロントにメトロバンクーバー同様の税を課税する予定はない」と語っています。さて、実際はどうなのでしょうか。




 カナダでは、バンクーバーとトロントの2都市が、カナダ全体の住宅価格を引き上げていましたが、ここに来てバンクーバーの住宅市場がようやくスローダウンをし始めたということで、現在、トロントのみが住宅価格上昇現象を見せています。

 夏を終えて、秋の市場になり、引き続き不動産ブームが続く中、トロントのみならず、GTAで、家を買う人(バイヤー)にとっては、ますます手ごろ価格の住宅を購入することが難しくなってきています。
 このような現状を見ると、オンタリオ州もBC州のように、トロント、もしくは、GTAの一定のエリアの住宅購入に関し、同様の税金を課税する方向に向かうのではないかという気がします。

 この外国人住宅購入税も、ある意味、健全な不動産市場にとって必要なことかもしれません。ただ、政府には、バンクーバーのケースを手本に、ある程度、長期にわたり調査、検討し、効果的な形で、案を進めてほしいと願います。

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服部江理子(はっとり・えりこ)
Sales Representative
Royal LePage Signature Realty
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Website : www.erikohattori.ca


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(2016年10月13日号)



 
 


 
 
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