【ビジネストピックス】
料理人からオーガニック養鶏場を起業
バーリントンのロビン・ニールソンさん
新鮮な卵が地元で評判に・・・


〈 リポート・田中貴子 〉

 ここ10年くらい、オーガニック食品や自家製の自然食品などの話題にこと欠きませんが、トロント近郊のバーリントンでは特に女性が起業し、農業に携わるケースが往々にしてあります。地元紙やレストラン雑誌などで特集が組まれることもよくあります。

 その一人、ロビン・ニールソンさん(Robin Neilson)は、バーリントン北部で養鶏を営んでいます。生まれも育ちもバーリントンの彼女は、農場を所有していた祖父母の手伝いを幼い頃からよくしていたそうです。その影響もあり、養鶏を始めたのは当然の成り行きだったそう。

▲ロビンさんの家へと続く長いドライブウエー ▲経営者のロビン・ニールソンさん


 養鶏を始める前は、料理人としていろいろなレストランで仕事をしていましたが、不規則な時間の職業のために家族(夫ロブさんとティーンエージャーの子供2人の4人家族)と過ごす時間が持てず、ロブさんと一日一度も顔を合わさないことがあるのも普通だったそうです。そんな生活に疲れ切ったロビンさんは、昔から興味のあった農業で起業することを思い立ちます。

 バーリントンでは、ダンダス・ストリート以南は、鶏を飼うことが禁止されているので、子供たちの学校なども含め、条件に見合う物件がなかなか見つからず苦労したそうですが、ちょうどダンダス・ストリートの北側に、古い家と広い裏庭付きの敷地が手頃な価格で売りに出ていたので、即決したそうです。

▲フリーラン卵(Free Run)を生産するため鶏たちは自由に動きまわれる ▲ロビンさんとご主人のロブさんの手作り鶏小屋


 とはいうものの、古い家を安く購入した者のさだめで、仕事の合間を縫って夫婦揃ってこつこつと大改修を行い、気持ちよく住めるまでになったのにはかなりの時間がかかったそうです。住まいが落ち着いたところで、長年の夢であった養鶏に取り組み始めました。

▲飼料も手作り ▲鶏の水飲み場



▲ロビンさんいわく「茶色のチャボが良質の卵を生む」そうです

 最初は手探りで、同じように起業した女友達や知り合い、また地域の養鶏経験者に教えを請い、いろいろと勉強したそうです。当初はほんの数羽しかいなかった鶏が今では60羽以上に・・・。
 チャボが一番質の良い卵を産むそうです。広い裏庭に小屋を作り、あとは鶏たちを野放しにしていたのですが、ある晩、コヨーテかラクーン(アライグマ)に鶏を食べられるという被害に遭い、泣く泣くフェンスをこしらえざるを得なくなってしまいました。とはいえ、文字通りのフリーラン卵(Free Run)です。

 けがをしたり年老いて卵を産めなくなった鶏は、残念ながら自宅で料理をして食べるそうですが、長年の付き合いでそれぞれの鶏との間に情が生まれ、自分の子供を育てたような気持ちになるので、殺すのはやはりしのびないと彼女は言っています。


▲卵黄の大きさが違うのもご愛嬌。ブロイラーのように均一ではないがゆえに、無駄な餌を食べさせていないことがよく分かります

 養鶏を始めて約一年になるロビンさんの卵の需要は高い。たとえば、バーリントンのレイクショアにあるレストランバー、Table 34(http://www.table34.com/)に仕入れているそうです。そのほかに、知り合いやクチコミで広まり、今や大盛況。売り切れの日もあるくらいです。ハミルトンの地元紙「Hamilton Spectator」にも彼女の養鶏の話題が記事になったそうです。

 今後、たとえばファーマーズマーケットなどに進出する可能性を聞くと、彼女は「ノー」と言いました。なぜかと言うと、オンタリオの農業はカナダの他の州より基準が厳しい上に、マーケットやスーパーに食品を置くとなると、その基準がさらに厳しく、さまざまな検査はもちろんのこと、従事者には定期的な講習が課せられるそうです。

 そこまでしなくても十分おいしい卵を提供できる自信があり、また、自宅からマーケットに行くまでの時間とガソリン代、その他もろもろの時間と費用があるのなら、養鶏に費やしたいとのこと。その分、お客さんは自宅まで買いに来てくれるので、家族との時間も引き続き持てます。

 さらに、今年、自宅の敷地内で始めた野菜などの農業にも専念できて、今の自分のライフスタイルにぴったりだと語っています。

 女性の社会進出が叫ばれて久しいですが、なにもフェイスブック COO のシェリル・サンドバーグさんのような人だけではなく、家族を思いやり、お天気と動植物を相手に日々格闘、試行錯誤するロビンさんのような女性も生き生きとしています。

 ロビンさんにはこれからも、ぜひ、バーリントンで養鶏のプロとして頑張ってもらいたいと、ますます応援したくなりました。

■ R & R Farms(ロビンとロブの名前から取って R & R)
 2195 Dundas Street(Hwy 5)
 Burlington, ON L7P 0S8

 647-447-9503(ロビンさん=ビジネス時間帯に連絡を。土日OK)

*値段は1ダース5ドル。

【卵マメ知識】ロビンさんから教えてもらいましたが、ゆで卵は、産卵後1週間以上たったものが最適です。実際に、産卵後1週間未満とそれ以降の卵、どちらでも試してみましたが、1週間未満のものは、ゆでた後どんなに素早く水で冷やしても、殻(から)が白身とくっついてなかなかとれませんでした。

(2016年10月20日号)



 



 
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