カナダ東部で移民の入国管理に携わった
ハリファックス港「ピア21」
移民の歴史語る博物館として観光スポットに


 1928年から1971年まで、カナダの東の窓口として入国管理に携わっていた「Pier 21」(ピア21)。1928年にピア21が建設される前は、1895年から1915年まで、現在、CFBハリファックス海軍に使用されている「ピア2」で270万人の移民を受け入れていた。


▲ピア21(中央の赤レンガ)とピア20(左側)、ピア22(右側)の建物。後方に見えるのは停泊中のクルーズ船

 ハリファックス大爆発【注1】による建物破損に加え、船舶の巨大化に伴い、桟橋、移民施設の巨大化も必要となり、ピア21と隣接するピア20、22が新しい施設として使用されるに至った。
 【注1】ノバスコシア州のハリファックス港で、1917年12月6日、軍用火薬を積んだフランス船籍の貨物船「モンブラン号」とノルウエー船籍の貨物船「イモ号」が衝突、積み荷が火災を起こした。モンブラン号の乗組員と水先案内人はボートでハリファックス対岸のダートマスへ逃げたが、無人のモンブラン号はハリファックスの波止場に流れ着き、大爆発を起こした。港に集まった消防隊、救助隊、見物人など約2,000人が死亡、約9,000人が負傷し、ハリファックス市の大半は廃墟と化した。


▲移民を運んでピア21に入港した船の写真集


▲再現された移民船の客室モデル


▲ピア21が移民局だった当時、カナダに入国した人々が使用していたトランク類

 100万人以上の移民を受け入れたピア21は、現在、National Historic Site(国の史跡)に指定されているが、ピア20、22とともに、頻繁に訪れる巨大クルーズ船の停泊にも利用されていて、観光客の足が絶えない。


▲移民局だった当時の「ピア21」のミニチュア展示物


▲移民の入国手続きを待つ子供連れの家族のために設けられた赤十字の託児所(ピア21内の検疫、病院エリア)


▲カナダに到着した移民をリクルートする広告ポスター


▲ピア21からカナダ内陸に向かう蒸気機関車の列車の客室(再現モデル)

 ピア21のミュージアム(博物館)は、大きく3つに分かれている。2015年の改築工事前から存在していたピア21と建物自体の歴史関連展示ミュージアム、改築工事後に新しくできた移民ミュージアム、期間限定のテーマ展示ミュージアムの3つである。
 改築前からのピア21関連のミュージアムも改築前よりアップグレードしているので、改築前に来館したことがある方にも、新たな発見と楽しみを味わうことができるということだ。


▲1914年、セントローレンス河で沈没した豪華客船「エンプレス・オブ・アイルランド号」

 現在の期間限定ミュージアムのエキシビションは、「カナダのタイタニック」と呼ばれるエンプレス・オブ・アイルランド号沈没事故【注2】の展示「Canada's Titanic-The Empress of Ireland」が11月13日まで行われる。
 【注2】1914年5月29日、ケベックシティーを出航して英国リバプールに向かっていたカナディアンパシフィック・スチームシップカンパニー所有の豪華客船「エンプレス・オブ・アイルランド号」(1万4,191トン)が、ケベック州リムスキー付近のセントローレンス河を航行中、ノルウェーの石炭運搬船「Storstad 号」に激突され、沈没。乗客乗員合わせて1,477人のうち1,012人が死亡した。平和時の船舶事故としては、カナダで最大の犠牲者数となり、「カナダのタイタニック」と呼ばれている。

 また、ピア21のミュージアムでは、19世紀末のウクライナ人移民の体験を披露する「Ukrainian Immigration Experience 1891-1900」が10月30日まで開かれる。さらに、11月1日から新たに始まるのが「Canada and the 1956 Hungarian Refugees」で、1956年のハンガリー動乱でカナダに逃れて来た難民の資料を展示。これは2017年2月1日まで開催となっている。

▲日本人移民、小野與惣次郎さんが所有していた頭陀袋(ずだぶくろ) ▲1950年代、田元さんが使っていた柔道着


 移民ミュージアムは、戦争花嫁をはじめとするヨーロッパからの移民関連の展示がほとんどだが、中には1907年(明治40年)に10代でカナダに移民し、戦争のため1940年代に日本に送還された「小野與惣次郎」(おの・よそじろう)さんの日本の住所付き頭陀袋(ずだぶくろ)がある。袋には、「滋賀県彦根市」と書かれている。また、1950年代の柔道家「田元」さんの柔道着が展示されていたりして、数少ない日本関連のものとして興味深い。

 案内してくれた歴史家のスティーブ・シュウィングハマー氏によれば、第一次世界大戦前から1970年代までの日本からのカナダ移民数は5万人ほどで、総移民数から見ると比較的少なく、更にカナダの東側から入国することは地理的にもほぼないためか、日本関連の歴史展示物も少ないのだそうだ。

 日本人移民二世、三世の方々は、ピア21で自分のルーツに関わる展示を見つけることは、恐らく不可能だが、館内のファミリー・ヒストリー・センターでは、ピア21からの入国者だけでなく、1865年から1935年までのカナダの他港やニューヨーク、ボストンなどアメリカの港から入港した移民のデータベースにもアクセスできるそうだ。直接、ピア21を訪れるのが難しい方でも、オンラインでリサーチリクエストを送ることが出来る。

 ピア21のガイド付きツアーは毎時間に行われている。 約2時間かけて、館内を案内してくれる。予約不要。グループのガイド付きツアーは要予約。

1055 Marginal Road, Halifax, Nova Scotia B3H 4P7
電話番号 : (902)425-7770
ビジネスアワー : 5月から10月 毎日午前9時半〜午後5時半
11月中 毎日午前9時半〜午後5時
12月〜3月 水〜日午前10時〜午後5時 (月・火休館)
※12/25、12/26、1/1は休館、3/14、3/15はマーチブレイクのため開館
入館料 : 大人$11、シニア(60歳以上)$8.35、小中高(6-16歳)$7、5歳以下無料、
ファミリー(大人2人・子供3人)$26、学生$7(要ID)、グループレート8ドル
上記の入館料はすべてHST抜き価格

メールアドレス : info@pier21.ca
ウェブサイト: www.pier21.ca

(2016年10月27日号)



 



 
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