ニューファンドランド・キングズポイント
陶芸ショップ「ポッタリークラフトギャラリー」
運営する日系三世デービッドさんとリンダさん


〈 リポート・石渡ふみこ 〉

 日系人が少ないニューファンドランドで、日系3世デービッド・ハヤシダさんと、「ポッタリークラフトギャラリー」創始者、リンダ・イエーツさん(Linda Yates)の二人がポッタリーショップを運営していることを知り、早速、スタジオのあるキングズポイント(King’s Point)を訪れてみた。

 キングズポイントの町は、ニューファンドランド・アンド・ラブラドル州の州都セントジョンズから車で約6時間、ニューファンドランド島の北西部大西洋岸にある。

 キングズポイントは、夏は海に氷山が漂い、クジラが入り込む Green Bay の内湾に面した美しいコミュニティーである。住民からは、協力的でやさしさを感じる。そんな湾の中心にポッタリーショップがある。


▲ポッタリークラフトギャラリーの外観( Photo by King's Point Pottery ) 


▲デービッド・ハヤシダさんとリンダ・イエーツさん

 アートを感じさせるお店のドアを開けると、あっと驚く。セントジョンズ市のショップでは見られないような、質のよい数々の手作りのクラフトから、リンダさんとデービッドさんの二人の合作であるポッタリー。ニューファンドランドらしい空、水、土をモチーフにした、自然体系を利用した作品ばかりである。


▲店内の様子

 店内は、とてもユニークで、よそでは見たことのないようなオリジナルなディスプレー。リンダさんとデービッドさんが長い間、築き上げた経験とプロ意識を通じての力作であることがうかがえる。

 リンダさんは、昔から住み着いていたアイリッシュ系の父親が経営していたガソリンスタンドの後を引き継ぎ、25年前にポッタリーギャラリーをスタートした。手作り上手な父親のもとで幼い頃からものを作ることに興味を抱いていたリンダさんは、ニューファンドランド、ノバスコシア、スコットランドなどで、ビジュアルアートを学ぶ。

 そしてノバスコシアのアートスクールで初めて日本の陶芸にめぐりあい、ポッタリーへの情熱が深まった。BC州で開かれた2週間のポッタリー・ワークショップで、同じくワークショップに参加していたデービッドさんと劇的な出会いとなる。

 デービッドさんは、そのころ、店舗などのコマーシャルインテリアを手がけていたが、設立したばかりのリンダさんのギャラリーに駆けつけ、2人の合作がはじまる。

 デービッドさんは、 第二次世界大戦をきっかけにオンタリオ州に移住した祖父と、料理好きの大学教授の父親、そして母親が専念していたポッタリークラフトなど、幼い頃より恵まれた環境の中で育った。小学校の郊外活動の一つであるポッタリーを初めて体験。その後もビジュアルアートや、バイオロジー(生物学)にも励みながら、ニューファンドランドの大自然をモチーフにしたクジラや海鳥などの絵付けを始める。

 数々の粘土から創作したリンダさんのポッタリーや、父親が改良したという海水にさらされた桟橋のごつごつした木端や、タイガの森に自然淘汰した枯れ木なども取り入れ、デービッドさんのインテリアの才能を駆使し、今のギャラリーの礎(いしずえ)を築いた。


▲窓側に陳列のガラス細工が美しい


▲ユニークなデザインの陶器

 こんな人里はなれたところに、見違えるほどのギャラリー。どこにおいても立派に通じるのではないかと感じられる。やさしく、助け合うコミュニティーの人々の中で、今でもさらなる運営に心をそそいでいるところだ。

 かつてニューファンドランドがタラ漁で栄えた頃、バイオロジー学者の父のもとで育ったデービッドさんは、クジラが出現するキングズポイントで、網にかかったクジラを救出する活動に触れる機会がおとずれる。

 母子のザトウクジラの救出が始まるが、救いきれなかった母クジラの全体骨を、教育目的に向け、現地と協力し何日もかけて洗浄し「Whale Pavilion」(クジラ展示館)を設立した。ここは世界のザトウクジラの3分の1が集うニューファンドランドの海への理解を深める場となるであろう。入り口には、現地の子供たちと協力し、指導・制作した色とりどりの手作りタイルなどが展示してあり、じかに触れる良い機会となる。


▲ニューファンドランドの大自然をモチーフにした作品

 ニューファンドランドには世界に誇る世界遺産、グロスモーン国立公園がある。ここは大陸が今でも移動している「大陸移動説」をつぶさに体験できるところである。キングズポイントのギャラリーがある地域には、ヨーロッパから続くスコットランド、ノバスコシア、そして米国まで伸びている「Cabot Fault」と呼ばれる断層(大陸の亀裂)が走っている。 

 そのため、珍しいマントルや、そのほか珍しい岩石を目にすることがある。鉄分を多く含む粘土をポッタリーにも使用する大切な場所でもある。これをテーマに、リンダさんとデービッドさんは、来年(2017年)に、ギャラリー25周年記念と、カナダ建国150周年を記念するセレブレーション・イベントを企画している。

 また、2020年には、デービッドさんと関連のある日系カナダ人を主体とした 「Landscape in Justice」の展覧会が開かれるが、二人の力作が出品される予定となっている。

 ニューファンドランドへおいでの節は、キングズポイントのポッタリークラフトギャラリーで楽しいひとときを過ごしてみてはいかがですか。

King’s Point Pottery, Craft Gallery & Fine Gifts
27 Bayside Drive, PO Box 36
King’s Point NL A0J 1H0
Phone : 877-268-2216 (toll free)
E-mail : info@kingspointpottery.com
www.kingspointpottery.com

(2016年11月3日号)



 



 
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