英国スコットランド1泊2日の旅
ハリー・ポッターの「ホグワーツ特急」に乗る


〈 リポート カルガリー・奈良由貴子 〉


 映画「ハリー・ポッター」シリーズの中で、ハリーたちがロンドンから乗る魔法学校行きの蒸気機関車「ホグワーツ特急」(Hogwarts Express Train)が、いくつものアーチがつながり、ゆるやかなカーブを描く橋の上を走るシーンは、全作品の中でも代表的な映像の一つです。

 今回は、スコットランド、ハイランド地方の風景を楽しみ、スコットランドの歴史にふれ、ホグワーツ特急のモデルとなったジャコバイト蒸気機関車(Jacobite Steam Train)に乗る1泊2日のツアーに参加しました。

 ツアーの出発地点のエディンバラまでロンドンのキングスクロス駅から電車で4時間20分。作者のJ・K・ローリングさんは、故郷のスコットランドに帰るために乗ったこの電車の中で「ハリー・ポッター」の構想が浮かんだそうです。


▲キングスクロス駅のプラットホーム.。円内はハリー・ポッター


▲キングスクロス駅構内ではカートと一緒に記念撮影できます

 ホグワーツ特急が出発するキングスクロス駅構内には、93/4番線ホームへの入り口の壁があり、半分壁に埋まったカートを押している記念写真が撮れます。この壁の左手に、ハリポタ専門のギフトショップがあり、ホグワーツ特急の乗車券を売っています。


▲世界遺産 フォース鉄道橋

 ツアー1日目、15人乗りのミニバンでエディンバラの中心街を出発し、間もなくすると、世界遺産でもあるフォース鉄道橋が見えてきました。1890年に完成したこの橋は、電車が倒れてしまうほどの強い風が吹く土地柄をふまえ、強風を十分に考慮し頑強に設計されています。


▲カロデンの戦場跡地


▲赤旗の右側がイングランド軍側

 エディンバラを後に、いくつもの丘を通り抜け、着いたのはカロデン(Culloden)の戦場跡地です。ここは、1746年、ジャコバイト軍とイングランド軍との戦闘で、ジャコバイト軍が完敗した歴史的な場所です。
 ジャコバイト軍とは、1688年の名誉革命の反革命軍の名称で、王位から追放されたステュワート朝のイングランド王ジェームズ2世(スコットランド王としてのジェームズ7世)を支援する人たちのことです。ジャコバイト(Jacobite)はラテン語で、「ジェームズ」を意味します。


▲ネス湖と廃墟となったアーカート城


▲ネス湖の水門とネッシー?!

 このあと、ミニバンは今夜の宿泊地、ネス湖の湖畔を目指します。ネス湖の静かな水面に、風もないのに、スーッと一本の筋が見えます。もしかして、ネッシー?と思わせるような神秘的な湖です。

 ツアー2日目、今日は待ちに待ったジャコバイト蒸気機関車「ホグワーツ特急」に乗る日です。ジャコバイト号は、ウエストハイランド鉄道のフォート・ウィリアム(Fort William)からマレイグ(Mallaig)を結ぶ68キロを走ります。フォート・ウィリアムはイギリス最高峰のベン・ネビス山(Ben Nevis =1,344メートル)のふもとにあります。

 その昔、山頂にあった測候所に勤務していたウィルソン氏は「霧箱」(蒸気の凝結作用を利用し、荷電粒子の飛跡を検出するための装置)を発明し、ノーベル賞を受賞しました。霧深いスコットランドならではの発明です。


▲ピカピカに磨き上げられたジャコバイト号


▲ジャコバイト号の一等車

 さて、水蒸気をはきながら出発を待つ汽車は、ハリポタファンだけでなく、鉄道マニアや年配のグループで満席です。汽笛の音に胸が高まる中、汽車が動き出しました。


▲グレンフィナン高架橋


▲グレンフィナン高架橋を走るジャコバイト号

 発車から約30分後、待望の「グレンフィナン高架橋」(Glenfinnan Viaduct)を通過します。連続する21のアーチがゆるやかな曲線を描き、後部から橋の上を走る先頭の機関車を入れて写真を撮る構図は鉄道マニアの夢です。右手に山、左手に湖が広がり、これぞまさしく絶景です。

 100年以上前の機関車が、世界最古のコンクリート橋を通過する。蒸気機関車発祥の国、英国の底力の賜物であるとしか言いようがありません。


▲グレンフィナン駅


▲グレンフィナン駅のホームにあるハリーが使ったものとそっくりのトランク


▲魔法の箒(ほうき)にまたがってパチリ

 興奮冷める間もなく、橋を過ぎるとすぐに「グレンフィナン」駅で20分停車します。ホームには、ハリーが使っていたトランクとそっくりなトランクが置かれ、ホグワーツ特急の終着駅の雰囲気をかもし出しています。ここでは、魔法の箒(ほうき)にまたがって写真が撮れるので、ぜひ、お見逃しなく。


▲マレイグの港

 片道、約2時間、終点のマレイグ駅に到着。マレイグは港町で、スカイ島(Isle of Skye)へのフェリーの出港場所です。帰りの出発時間までの2時間の間、ゆっくり街を散策し、名物料理のフィッシュ・アンド・チップスや小エビをふんだんに使ったシュリンプ・バーガーを味わい、満喫しました。


▲グレンフィナン高架橋。ジャコバイト号の車窓から見る(復路)

 汽車は、同じルートを通って帰るので、再度、グレンフィナン高架橋の撮影に挑戦。今度は、早くからデッキに出て撮影場所を確保。車内の窓ガラス越しよりもきれいに撮れます。デッキの窓を開けていたら、トンネル内でかなりの煙が入ってきて、鼻の中が真っ黒になるというおまけも付いてきました。


▲霧にむせぶグレンコー


▲魔法学校のモデルになったエディンバラ城

 名残りを惜しみながら汽車を降り、エディンバラへの帰途に着きます。途中、スコットランドで一番美しいといわれる渓谷で、標高1,000メートル級の山が連なるグレンコー(Glen Coe =ゲール語で「嘆きの谷」を意味する)を通ります。この辺りで、ハリポタの「アズカバンの囚人」や「炎のゴブレット」が撮影されました。


▲毛むくじゃらのハイランド牛

 グレンコーを過ぎ、高い山々が姿を消し、左右には背の低い草が地面にかろうじて根を張る石混じりの荒野が広がり、映画 007「スカイフォール」が撮影された高低差があり、うねるような道を走り旅が終わりました。

 今回は、念願の「ホグワーツ特急」に乗るだけでなく、スコットランドの歴史を知り、自然の素晴らしさ、特に、霧に包まれた魔物に魅了された旅となりました。

■ Viator 「ホグワーツ特急」に乗るジャコバイトの旅1泊2日
www.viator.com

今年のツアーは終了しました。再開は、来年(2017年)の春になります。
料金は、出発日、宿泊施設(ホテルまたは B & B)によって異なります。
https://www.viator.com/tours/Edinburgh/2-Day-Jacobite-Experience-including-the-Hogwarts-Express/d739-5256JACOB

〈終わり〉

【編集部より】「ハリー・ポッター」シリーズの「第1回 英国ワーナーブラザーズ・スタジオ見学」と「第2回 ハリポタ・ロンドン市ウオーキングツアー」の記事は、アーカイブの「世界の街角から」をご覧ください。トップページ「今週のトピックス・目次」の下の「過去のトピックスはアーカイブをご覧ください」をクリックすると見られます。

(2016年11月10日号)



 



 
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