着物サロン「Salon de Tea + Kimono」を主宰する
プオポロ浩子さん
「着物文化を広めることに少しでも貢献できれば・・・」


〈 取材・いろもとのりこ 〉

 人は育った環境によって趣味や仕事が影響されることが多い。プオポロ浩子(Hiroko Puopolo)さんも生まれ育った新潟が日本でも有数の着物の産地であることから自然に着物に興味を持った。

 ちなみにユネスコの無形文化遺産の越後上布(えちごじょうふ)や小千谷縮(おぢやちぢみ)は新潟産である。 また、京都に次ぐ日本第二位の生産量を誇る十日町の絹織物、日本三大白生地生産の五泉の絽(ろ)や紗(しゃ)など、着物が身近にある環境で育ってきた。

 そんな浩子さんがトロントで着物の着付けや着物レンタルを行うようになったのは、2014年、子育てが一段落したころだった。日本から持参した着物は訪問着、振り袖など合わせて約100枚もあるそうだ。

 自宅で着物サロン「Salon de Tea + Kimono」を主宰する浩子さんに着物とのかかわり合い、着付けの心得などをうかがった。


▲プオポロ浩子さん(Salon de Tea + Kimono にて)


▲レンタル用の訪問着の一部


▲振り袖の一部

サークル活動の講師がきっかけに

 浩子さんは新潟市の高校を出て東京の大学に進学。卒業後、新潟にもどり公共交通機関の省庁担当総合職として一般企業に勤務した。その後、カナダに留学することを決意する。
 トロントのジョージ・ブラウンカレッジでホテル経営学を学び、卒業後はトロント市内のホテルで VIP 担当ゲストサービスとして勤務。

 そのころ、日本で仕事上の知り合いだったプオポロ・ジョンさんに再び会い、めでたく結婚。ご主人のジョンさんはトロント生まれのイタリア系カナダ人。当時はイギリス系のリゾート開発会社に勤務していた。結婚後、彼の転勤に伴ってタイ王国、サウジアラビア王国、バーレーン王国に居住し、再びカナダにもどる。

 浩子さんと着物とのかかわり合いは「土地柄、地元には呉服屋も多く、会社帰りの習い事の一つとして着付け教室に通ったことがきっかけです。そこで講師の免状を頂きました。着物が好きで、機会があるごとに着ており、各国在住時にもパーティーや式典で着付けをしておりました」と、語る。

 浩子さんがトロントで着付けを教えるようになったのは、「2014年に参加していた育児サークル『ひだまりクラブ』で女性のための講習会の講師を募集していて、そこで教え始めました」とのこと。

 「ひだまりクラブ」での着付け講師から仕事の範囲が広がり、現在は、着物レンタル、着付けサービス、着付け教室を中心に、着付け小物の販売も行っている。 「また、年に2回ほど開催する『着物撮影会』も好評を頂いており、日系や日本人だけでなく、他文化のお客様や、国境を超えてアメリカから来てくれるお客様もいらっしゃり、うれしく思っております」


▲2016「 Kimono Discovery Japan 」イベントで、着付けショーを担当する浩子さん

▲同イベントで帯を結ぶ ▲「 Kimono Discovery Japan 」イベントで浩子さんが着付けを担当した出演者が勢揃い。左から3人目が浩子さん、中央は村主章枝(すぐり・ふみえ)さん


「着物で日本&日本企業をアピールできれば」

 本格的に着付けなどの活動を始めてまだ年数がたっていないが、これまでに2015カナダのウエディングマガジン、WedLux の Japanese Inspire Wedding での着物レンタル及び着付けをはじめ、2016年9月10日トロント日系文化会館で開催された「Kimono Discovery Japan」イベントでの着付けステージショー、イベントへの着物レンタル、フィギュアスケート村主章枝(すぐり・ふみえ)選手の着物レンタル及び着付けサービスなどを担当した。


▲「 無印良品 MUJI 」ヨークデールオープニングイベントでモデルさんたちに着物の着付けをした浩子さん(中央)

 また、今年10 月、ヨークデールショッピングセンターにオープンした「無印良品 MUJI」のオープニングイベントへの着物レンタル及びモデル着付け、オンタリオ州ケンブリッジ市の at Langdon Hall Hotel での「Shoushin at Landgon Hall, a Dinner Celebration of Two Cultures」イベントで着付けサービスなどを行った。

「着物姿でイベントに参加することで、日本の企業であることを見た目にわかっていただけるのですね。日本、そして日本企業をアピールできればうれしいです」

TPOとその人の雰囲気に合った着付けを大切に

 日本とカナダでは着物に対する考え方や感じ方はかなり違っている。
「私自身は、基本はオーソドックスな着付けを大切にしています。しかし、着物に対する概念のないカナダ人や若い人たちは、もっと自由な着方を好むこともあります。それはそれでいいと思いますよ。着物は伝統であると同時にファッションでもあります。楽しむことが大事だと思います。T(とき)P(場所)O(場合)に合ったものであればコンテンポラリーな着方はお洒落(しゃれ)でいいと思います」

 そして、着付けをする時の心得としては、「その人の持っている雰囲気を大切にします。TPOに応じて、パーティー用には華やいだ感じに、また儀式には少しかしこまった感じ、などです」

「着物文化を広めることに貢献できれば・・・」

 今後の活動について、まずは来年「春の着物撮影会」が予定されている(期日は未定)。そして「一人でも多くの方に着物を着ていただきたいし、子供に着物文化を伝え残したい」と。

 将来的には、「着付け教室を運営して、生徒さんに資格を授与できるようになればいいですね。それには日本の学校と提携したり、費用もかなりかかりますが・・・。また、日本企業がカナダに進出する際の活動の一環として、着物でPRのお手伝いをする事業も視野に入れており、少しずつですが実際にご依頼をいただいております」

 最後に、浩子さんが強調することは、「あまり大それたことを望んでいるわけではありません。ただ、着物文化を広めることでより広く日本を理解していただくことに少しでも貢献できればいいな〜と思っているだけです」
 どこまでも奥ゆかしい日本女性の願いである。

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(2016年12月8日号)



 
 


 
 
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