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モントリオール楓美
2012年5月詠草
  選者 富永 美代
   
待ちわびし人の来し後なすべきをみな果たしてか君急ぎ逝く
村上 侑子
   
老いふたり食するのみにぞ精を込む日毎為すこと限られたれば
  鮎川 祥子
   
春が良し秋も良しとて決めがたき最後とならむ夫の訪日
  ベルニエ 節子
   
一才柚子百五個浮かべし湯につかり幼は悦に入りてはしゃぎぬ
  コーテ 万知子
   
歩き初めひと月経たる一歳児自信ありげにチャプリン風に
  マレット あけみ
   
ぶつぶつと新芽出したる高枝に風遊ぶとき鳥も来て舞ふ
  (マーチンタウン) 小倉 豊子
   
診察は今日で最後と告げし女医病の影の微塵も見せず
  小西 真美子
   
さらさらと川の流れを聞きながら春の日浴びぬ独りのデッキ
  クワン 小文
   
隣り家とわが家の連翹競ひなく賑はひ咲ける垣なき庭は
  (トロント)村杉 康枝
   
心地よく晴れ渡りたる早き春優に歩きぬ地下鉄六駅
  (トロント)チコイ・ダバン 恵
   
ゆふかげとなりて広さを見する空遠くに飛行機飛びゆくが見ゆ
  (日本) 中村 まさ子
 
夏ゴルフ冬水泳と恙なく夫と登れる七十路の坂
  (フェンウィック) 鳥塚 昌子
   
夕闇が迫れば沖の漁船より灯りチカチカ波の間に間に
  (トロント)遠藤 裕子
   
小夜寝覚めものかげ写す雪明り名残りの雪降る朝の光に
  (米国)まんしぃに 淑
   
寒風に紅梅散りて地を染めり白き椿は蕾膨らむ
  (日本) 渡辺 登
 
白鵬の面に闘志漲りて千秋楽の土俵沸き立つ
  (トロント) 小方 和子
 
浅春の野辺はいまだし萌ゆるなくそっと踏みゆくやはき土の辺
  富永 美代



 
 
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