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モントリオール楓美
2012年7月詠草
  選者 富永 美代
   
暴力もバイオレンスと片仮名で書けば何かが変はるものかは
村上 侑子
   
来し方の何処ゆ生れてゆく方の何処に果てむ一世想ほゆ
  鮎川 祥子
   
風荒ぶ飯盛山の墓に佇てば雄叫び聞こゆまぼろしの声
  ベルニエ 節子
   
夕つ辺に降りたる雨のやさしみて幼き葉群れ濡らして止めり
  コーテ 万知子
   
五月晴にはか庭師の腕まくり苗木あれこれ迷ふも楽し
  マレット あけみ
   
無限なる光となりしその刹那われに告げ来し汝逝きたまふ
  近藤 晴美
   
ブラインド上ぐればそこに世がありて踏み出し行くもすさるもよろし
  (マーチンタウン)小倉 豊子
   
掃除機をかけ洗濯をしてできたての彼女を招く十五の息子
  関 陽子
   
あまたなるなゐに震へるわが祖国悪しき予測にさらなる不安
  小西 真美子
   
わが一世先の短し過去長く喜寿を前にし幸あれと祈る
  クワン 小文
   
光琳の褪せし屏風に浮き出づる金に鮮やぐ千々の花かげ
  (トロント)村杉 康枝
   
何時になく皓皓と照る満月や今夜は待たるるスーパームーン
  (トロント)チコイ・ダバン 恵
   
風に乗り舞ひ飛びて来るカエデの実あまた散り敷く夏のさ庭辺
  (日本) 中村 まさ子
 
莫大な予算費やし建てられる大学病院誇りの的ぞ
  柴田 隆典
   
機上より見しグランドキャニオン戦争のアジトにも似て長くつづけり
  (フェンウィック)鳥塚 昌子
   
遠路より歌友来たりて庭園のアヤメほほゑむ日の暮るるまで
  (トロント)遠藤 裕子
   
ラスベガス夜の底ひは皓皓と眠らぬ街を満月見下ろす
  (米国)まんしぃに 淑
   
鮎住みて川藻なびかふ柿田川清き流れを誰れか守らん
  (日本)渡辺 登
 
音に日をあてると暗く変身し門で包むと闇と読まれる
  米山 英貴
 
足萎えてうちに籠もりしわが夫に一目見せたし新緑の輝き
  (トロント)小方 和子
 
にはか雨はげしくなりて駆け込める町の茶房のざわめきをりぬ 
  富永 美代
   
【編集部より】短歌グループ「楓美」はモントリオール在住の富永美代さんの指導により活動を続けていますが、今年、創立20周年を迎えました。



 
 
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