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モントリオール楓美
2013年2月詠草
  選者 富永 美代
   
静穏に街の灯ゆるるイヴの夜患者の部屋に家族の愛満つ
村上 侑子
   
ただ真白テラスゆ天へ延び広ぐ吹雪のあとの朝の煌めき
  鮎川 祥子
   
風に揉まれ降りくる粉雪地の上をムーンウォ―クの様にぞ滑る
  ベルニエ 節子
   
ふふみたるうめ塩飴の酸つよく顔しかめをり孫の姉妹よ
  コーテ 万知子
   
かくれんぼ積木に歌と孫相手祖父母を知らぬ己いとしむ
  マレット あけみ
   
雪庭に大小「8」の字を描き駆け回りしは森の精かや
  (マーチンタウン)小倉 豊子
   
「伴侶はね、必要だよ」と美しき声でみごとに的を射る友
  関 陽子
   
楽しみは孫らの写真くり返しくり返し見る幼日追ひて
  クワン 小文
   
わが車走らす雪野にふと赤き尾灯現はれ人心地つく
  (トロント)村杉 康枝
   
この年は「積む読」断ちてひたすらに歌の書物を座右の書とせむ
  (トロント)チコイ・ダバン 恵
   
朝明けのベランダに積みし雪の上栗鼠の歩きし足跡続く
  (日本) 中村 まさ子
 
テーブルに活けられし花うつくしく香り放ちて季を示せり
  柴田 隆典
 
初雪を頬に滑らせ想ふこと若き日に無き老いの感傷
  (フェンウィック)鳥塚 昌子
   
荒々と山肌映す弥六沼木枯し吹きて来る人乏し
  (トロント)遠藤 裕子
   
巳年なる母の居ませばこの年は百に余れる歳重ね給ふ
  (米国)まんしぃに 淑
   
山際がオレンジに染むる明け方に希望の星は天に輝く
  (日本)渡辺 登
 
進化する基準が物にあるならばこの世は少し退化すべきか
  米山 英貴
 
学ぶこといろいろありし一日の夕べを静かに寛ぎをりぬ
  (トロント)小方 和子
 
さくさくと音たのしめり雪の朝歩くは楽し心弾みて  
  曽根 可奈子
 
「ああ無情」百五十年後のわが涙ユーゴーは知らずや熱き想ひを
  藤田 邦子
 
ひきずらるる如くに大きブーツにて老女は吹雪ける街に消えゆく
  富永 美代
   



 
 
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