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モントリオール楓美
2013年11月詠草
  選者 富永 美代
   
北極の氷日ごとに解けゆくとふこの現実と吾との間
村上 侑子
   
そぼ濡れて眠りをらむやわが庭は晩秋の翳濃さを増す中
  鮎川 祥子
   
夕闇に沈む庭の辺仄白く浮くがに見するフロックスの花
  ベルニエ 節子
   
濃淡の紅に装ひかへるでは雨に霞めるさ庭を覆ふ
  コーテ 万知子
   
朝露をとどめたる野の風清し光る入江に舟影一つ
  マレット あけみ
   
闇の窓ゆ見ゆるは黒き森と空西から飛ぶは光の蚊とんぼ
  (マーチンタウン)小倉 豊子
   
自信とか自負とかそんなモノたちが手を振りて去るしかも笑顔で
  関 陽子
   
幾重にも光輪放つまろき月真夜生けるもの慄かしむや
  小西 真美子
   
産卵をとドン河上る成魚の鮭浅瀬にきらり尾びれ跳ね上ぐ
  (トロント)村杉 康枝
   
清すがと古式豊かな洗礼式孫の魂神に洗はる
  (トロント)チコイ・ダバン 恵
   
再来のケベックの街亡き夫も健やかなりき去年の思ひ出
  (トロント) 中村 まさ子
 
汗流るる面に纏はるおくれ毛が気になる秋の眩しき陽射し
  (フェンウィック)鳥塚 昌子
   
秋空を轟音たてて自在なりアクロバット飛行の九機は踊る
  (トロント)遠藤 裕子
   
ゴッホの黄に負ひし向日葵濡れそぼつ頭を垂れいまはハロウィーン待てり
  (米国) まんしぃに 淑
 
早朝の彼岸中日墓参り静寂破る水を打つ音
  (日本)渡辺 登
 
口中に広ごる芳香紫蘇ジュース生活の知恵親から娘へと
  (トロント) 小方 和子
 
すすき穂の上に出でたる満月や澄みわたる空今宵十五夜 
  曽根 みな子
 
さやさやと音を奏でる秋風よ九月の声と誘はれるなり 
  曽根 可奈子
 
ぬくき日に発ちし空港三日前帰りて涼し秋風の吹く
  ヴィンセント 由美子
 
水上機通り過ぎゆく河の辺に波は踊りて岸に寄せくる
  富永 美代
   



 
 
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