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2014年五月詠草
  選者 富永 美代
   
美容師の客傷つけぬ相づちの仏語聞き惚れ髪切られゐる
村上 侑子
   
東京湾岸の光のさざめき偲ばせて対岸の灯り煌めき連なる
  鮎川 祥子
   
娘ら二人とうに片付き雛も老ゆ家付き娘のごとく鎮座す
  ベルニエ 節子
   
春陽の強きひかりを身にうけて軽き目眩の如きに酔へり
  コーテ 万知子
   
誕生日うからゆ賜びたる花束を抱けば胸に彩のこぼるる
  マレット あけみ
   
川に沿ふ時計堂もつコーンウォール移り住み来ぬ雪の降る日に
  (コーンウォール)小倉 豊子
   
胸騒ぎする毎母に電話なす何事無くば心の安し
  小西 真美子
   
SOLDのサイン立ちたる古家に「さよなら」告げて娘ら帰りゆく
  (トロント)村杉 康枝
   
人は皆死を迎ふるを意識せよ今日は聖なる「灰の水曜日」
  (トロント)チコイ・ダバン 恵
   
離れ住む娘の送りくるフェイスタイム老いの暮しの楽しみとなる
  (トロント) 中村 まさ子
 
乳母車つらねて歩むデイケアーの幼も乙女も多国籍の顔
  (フェンウィック)鳥塚 昌子
   
リンカーンの直筆見たりテネシーの南北戦争博物館にて
  (トロント)遠藤 裕子
   
百周年の祝典終へて春の日をタカラジェンヌは舞台に煌めく
  (米国) まんしぃに 淑
 
泣く老女に笑みをと言へば安らぎの笑みかへり来ぬ施設を訪ひて
  (オタワ) 長澤 しゅうふぉん 
 
腰痛の妻を気遣ひ洗ひ物四十回目の結婚記念日
  (日本)渡辺 登
 
掃除機を響かせ次はコンピューター有難きかな若きエネルギー
  (トロント) 小方 和子
 
蕗百円小川の脇の無人店旬の野菜に夕餉楽しむ
  曽根 みな子
 
今のうち徐々にするべしダイジェット春のおしゃれを楽しむために
  曽根 可奈子
 
ミュンヘンで季節知らずのビアガーデン飛び交ふ声に心弾めり
  ヴィンセント 由美子
 
深き雪に会はずにありし隣人の会へば互(かたみ)に声の弾めり
  富永 美代
   
(2014年5月1日号)  



 
 
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