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楓美 2015年八月詠草
  選者 富永 美代
   
洗礼の水受くる孫のその瞳美しきものたくさん見てね
村上 侑子
   
諾ふも肯ふもなく日々過ごす現実夢想の差別なくして
  鮎川 祥子
   
名も知れぬ花の実白き玉連ね揺れつつ光る真珠にも似て
  ベルニエ 節子
   
蛍火を見んとさ庭に座しをれば遠く弾ける花火の競演
  コーテ 万知子
   
夜半一人小暗き居間にもの思ふ吾をぴしりと稲妻の打つ
  マレット あけみ
   
会ふこともままならぬ日々はネットでの文字の応酬息災確かむ
  小西 真美子
   
うす絹のごと淡かりし夕の月深夜の空に銀光放つ
  (オタワ) 村杉 康枝
   
声高く論すが如く孫話す両親(おや)の口調をそのままにして
  (トロント)チコイ・ダバン 恵
 
乾きたる日々をすごして降る雨に愉悦とならむ庭の花々
  (トロント)中村 まさ子
 
老い人もトーナメントに誘ひくるる「ナイヤガラ・ゴルフ」の若き人々
  (フェンウィック)鳥塚 昌子
   
鎌倉の蛍放生祭の厳かに浄闇の中へ静かに飛べり
  遠藤 裕子
   
故郷の大安禅寺の菖蒲園偲ぶるいまも褪せぬ紫 
  (米国)まんしぃに 淑
 
米寿過ぎなほ発明に明け暮るる叔父の元気に我感嘆す
  (日本)渡辺 登 
 
夕暮れの空にかかれる虹の色次第に薄れ闇にとけゆく
  (トロント)小方 和子
 
今日もまた昇段めざしさ庭辺のテントの卓に書を励みをり 
  曽根 可奈子
 
早や六時夕間暮れにはまだ遠く北国の空陽光弾く
  福村 和浩
 
知る限り技の限りを尽くせども我ままならず窯神頼み
  間 由加里
 
夢に会ひ夢に別れし人らゐて覚めてなほ更なつかしみをり
  富永 美代
   
(2015年8月6日号)  



 
 
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